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非漢字圏出身の在日外国人のための漢字学習アプリ作成プロジェクト

更新日:2022年3月18日

2018-19年度実施


プロジェクトの概要


 外国人は様々な身分で日本に在留し、必ずしも日本語教育機関に所属するわけではない。一方、全員が在日生活者であるため、生活情報を必要としている。彼らがスマホ端末を利用し、気軽に独学しながら、日本語で記載される生活情報を読解できる能力が身に付く学習コンテンツの構築が本開発の目的である。

 また、本学習アプリでは、意味説明の提示方法として、対訳のほか、「やさしい日本語」も併記する。加えて、学習提示項目は「漢字→語彙→単文→文章」という順序に沿って導入する。漢字学習は文字の習得レベルに留まらず、漢字の個々の意味まで言及し、語彙の意味と関連付けたうえ、その意味を用いて文章レベルでも理解できるような学習コンテンツを目指したい。漢字の学習から文章の学習まで一貫することにより、知識を多層的に体得し、それを運用できる能力を涵養することが狙いである。


本学習アプリの概要及び特徴


 本学習アプリでは、テーマ別で「国民年金、市営住宅、健康診断」と3つの学習コンテンツを作成した。テーマごとに、学習提示項目を「漢字→語彙→単文→文章」と4つのステップに分け、さらにステップごとに「学習→練習→クイズ」と段階を設けた。

 ステップⅠでは個々の漢字の意味理解をベースに学習し、理解した漢字がステップⅡで組み合わされ語彙として出現させる。そこで学習した語彙が含まれた単文をステップⅢで習い、それらの単文を理解した上、文章の学習に進む。学習した漢字の意味と関連付けながら、次第に語彙、単文、文章へと理解していく。習いたての漢字が文章の中で現れ理解できたことによって、運用レベルへとつながる。

 また、漢字の読みと意味説明を示し、対訳のほか、「やさしい日本語」も提示している。日本語で日本語を説明することにより、学習言語と対訳間に生じるズレを回避し、身に付いた日本語を用いて新たな日本語の知識が獲得できる能力を培うと同時に、既習した日本語への理解もさらに深まることが期待できる。

 さらに学習効果を増進させるため、専門ナレーションによる音声データも添付した。学習時、視覚・触覚・聴覚を同時に刺激することで記憶力の向上を狙うためである。ステップの最後に設けた「クイズ」は、一定の割合で正解しないと次のステップに進めず、後のステップの内容も見られない設定となっている。ゲーム感覚で次のステップに進みたい昂ぶり及び見られない内容に対する好奇心を刺激しながら、学習意欲の向上を期待する。学習順序をコントロールするもう一つの目的は、独学による学習効果を最大化にするためである。

 以上生活特化型日本語学習アプリの内容を紹介してきた。本学習アプリは、人文学とIT分野との共同制作を実現することで、デジタル化が進む現代社会の学習スタイルに合うものとなる。さらに、広報誌を学習内容に採用し、日本語教育では扱われてこなかった行政に関する言葉や表現方式の学習も試みた。漢字から文章へ縦断的に学べ、漢字学習から読解へと意識付けできるアプリがない現状を打破したことが言えよう。



学習アプリダウンロード先: https://www.vrmore.net/api/japst-share.html  





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